「ほめる教育」の落とし穴。ほめると子どもが成長しないという話。実験と体験からの指導法 その2
昨日の内容は見ていただけましたでしょうか?
さて、今回は前回の続き
「ほめる」についてです。「何をほめるか?」はかなり重要です。
「何をほめるか?」
逆に言えば、
「何を叱るのか?」
ということはかなり大切です。親が子どもの人生を左右してしまいます。
このことについて面白い話があります。これは実際にあったある家庭の話です。
ある少年の話
小学生の子どもがいました。
その子の母親は、大変厳しい人で、子どもには、
「テストでは80点以上」
ということを常に言っていました。
そして、80点未満を取ってきたら、厳しく叱るのでした。
100点 ・・・「よくやった」とほめる
80点以上 ・・・「まあまあ」と
80点未満 ・・・「駄目じゃないの」と叱る
そして、小学1年生のときは、母親も家で仕事をしているので、子どもの勉強についてしっかりと管理していました。
「宿題はやったの?」
「5時までには帰ってきなさい。」
と。当然、子どもの勉強を見ていたので、成績は問題はありませんでした。
ところが子どもが小学2年生になったときから、母親は外に働きに出るようになりました。
子どもとしては、母親の管理から解放されて、遊び放題。その結果として、子どもの成績が下がりはじめました。
母親は、テストの結果を見るたびにその母は子どもをきつく、きつく叱りました。
そして、それが何度も何度も続くと、今度は子どもはテストを隠すようになりました。
テストが戻ってきても、80点未満のテストは、そっと机の奥に押し込んでしまいした。
「最近テストないけど、テストはないの?」
「テストないよ。」
子どもは嘘をつくようになりました。そして、80点以上のときは、
「お母さん、テスト返ってきた。」
「どれどれ。80点以上。うんうん。」
と母親に見せるのでした。 ところが・・・
ある日、母親がその子の机の中を掃除していると、見たことのないようなテストが・・・
「○○。これは何なの?」
「・・・」
「テストがない。って・・あるじゃないの。」
「・・・」
「何で、何でテストを隠すの?」
「・・・」
「もう、80点以上ばかりで嘘じゃないの!」
「・・・」
「もう(バシィ!)」
「あー。(子ども腕を叩かれて逃げる)」
「何で隠すの(バシッ!バシッ!)」
「あー。(泣き出す)」
「もうー。手が痛い(バシッ!)」
「痛い。」
「もう。(今度はものさしを持ち出す)。
今度テスト隠したら許さないからね。
(バシッ!バシッ!バシッ!)」
「あー。」
そう言って、子どもは何度も何度も叩かれるのでした。
しかし、そうは言っても、その子は、母親に叱られるのが怖くて、何度も何度もテストを隠すのでした。
そのたびに、母親にものさしで叩かれ、あるときは、その場にあった、どんぶりを投げつけられたりしました。
また、ものさしがそばにないときは、お土産で買ってあった横笛が割れるまで、叩かれるのです。
そして、次にその子はどんな行動を取ったのか・・・と言うと、
学校の先生が使っているペンを買ってきて、今度は、先生がつけた点数を書き換えるのです。
例えば、
30点 → 80点
といった具合です。「ぺん」とはねられてあるところは、すべて、「○」に書き換えて・・・
まるで、その変え方は「芸術的」と思えるほどです。
結局、その子は自分で勉強することより
「どうやって、親の目をごまかすのか?」
ということに力を注いだのでした。
結果を叱る家庭にある子どもの共通点
実はこの話ほどひどくなくても、似たように話は息子の友達からも聞かれます。
「あー。テストどうしょう。」
「何で?」
「テスト。まだ親に見せていないんだ。」
「えっ。もう何日もたっているよ。」
「だって怒られるもん。」
「そうなの?」
「だから、他のテストの良い点数と一緒に出そうかな・・・」
と。実はこれらに共通ししているのが、
親は子どもの
「結果に対してのみ評価している」
という点です。
「ほめる」ということも「叱る」という行為も「結果」だけに集中しすぎると、
「子どもも結果だけを求める子になる」
「結果が早く出ることだけをしようとする」
「失敗をしようとしなくなる」
のです。
社会で成功する子どもの育て方
ですが、実際に世の中で成長するには、
「小さな失敗をする」
ということが必要になります。
これは、日本有数なマーケッターである神田昌典氏の言葉にこんな言葉があります。
キーワード:
数多くの小さな失敗しないで、成功することはない。
種を撒かないと、実を結ばないのと同じです。解説:
どんな天才でも、10の新しいことをやれば、7~8は失敗する。
だから、大きな失敗ではなく、小さな7~8の失敗をするようにする。問題なのは、失敗を恐れるばかりに、7~8の失敗を躊躇すること。
撒いたすべての種から芽が出ることがありえないように、失敗しなければ成功はありえない。
そうなんですね。世の中に出て、新しいことをどんどんやっていくと、「失敗」や「よくない結果」は必ずついてきます。
また、「それを乗り越えないと成長しない」のですね。ですから、子どもを指導するには、そのことを意識しないと駄目なんです。
そこで大切なのが、ほめ方なんです。それは、
「『結果』を中心にほめるのは『結果承認』と言います。逆に子どものやった行為についてほめるのを『行動承認』と言います。
子どもにほめたときには、この 『結果承認』であるのか、『行動承認』であるのかとても重要です。」と・・・。
では、具体的にどうするのかは、また前回の実験に戻ります。